イエメンで地元部族民に拉致・拘束され、8日ぶりに解放された技師真下武男(ましも・たけお)さん(63)は、解放から一夜明けた24日午前(日本時間同日夕)、首都サヌアの日本大使館で記者会見し、拉致されていた状況などを語った。いったん帰国して静養するつもりだが、「(イエメンに)戻りたい」とも語り、自身が携わる国際協力事業への思いものぞかせた。
真下さんによると、拉致された15日午後、首都サヌアの北東約60キロにあるアルハブに日本政府の援助で建設途中の小中学校まで、あと4キロほどの路上で、自動小銃で武装した地元部族民6人に車を止められた。「(部族民が)車に乗り込んできて。拉致されちゃったかな、と思った」
拘束中は常時、武装した部族民に見張られ、トイレ以外は外に出られなかった。威嚇などはなく「身の危険は感じなかった」というが、じっとしているのがつらく、家族のことや「65歳で定年を迎えた後は何をしよう」などと考えて過ごしたという。
「アルカイダに連れ去られた」との報道があったと聞かされると、「(家族に)心配をかけちゃったな」。解放後に妻恭子さんとの電話で「そんなに心配してないから、安心して」と言われた、と打ち明けて報道陣を笑わせた。
今回の事件でイエメンに対する印象が変わったかを問われると「この国の事情は複雑ですから。そんなにひどいイメージは持っていない」。今後のことに話が移ると、引き締まった表情で「(イエメンに)戻りたい」と話し、小中学校建設を「私の気持ちとしては最後までやりたい」と語った。順調なら、来年2月に完成する予定という。
今回の事件は、拉致や誘拐が起きてきた地域ではなく、首都のあるサヌア州で起きたため関係者を驚かせた。真下さんも「危ないところには行かないという意識で、行動していた」と語った。
(朝日)
http://www.asahi.com/national/update/1124/TKY200911240497.html
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