実は、穴が開いていた--。中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、従来の県警の鑑定が覆され、県内で被害を出した2袋に、ともに1~2ミリの穴が開いていたとする警察庁科学警察研究所の鑑定結果が発表された。袋の穴の有無は、どの段階でどう毒物が混入されたかを絞り込む有力な判断材料で、捜査の大きな焦点の一つだった。穴を見逃した当時の県警の鑑定に疑問の声が上がりそうだ。
県警捜査1課の14日の発表によると、2袋の穴はともに、開封時に切り離された切れ端の側で見つかった。
千葉市で母子2人が倒れた「CO・OP手作り餃子」の包装袋では表側の上端から2センチ、左端から6センチの部分に長さ約1ミリ筋状に開いていた。市川市で母子5人が倒れた商品では、裏側の上端から2センチ、右端から2センチの部分に約2ミリ筋状に開いていたという。
7人を苦しめた有機リン系殺虫剤メタミドホスは、袋の内側とギョーザの皮、具から検出されていた。県警科学捜査研究所は当時の鑑定で、開封された袋の本体側と切れ端側について、肉眼やルーペによる検査や水を入れて漏れをチェックする検査を行っていた。穴はないとする鑑定結果を踏まえ、県警はこれまで一貫して「製造過程で混入された可能性が高い」との見方を示していた。
ところが、中国捜査当局は3月下旬、注射器を使って毒物を混入させた疑いで天洋食品の元社員を逮捕した。4月の日中警察当局の情報交換会議で、中国側が説明した毒物の混入時期は07年10月1日や同20日など3日間だった。警察庁は、問題の2袋の製造年月日が「07年10月20日」である点を踏まえ、元社員の供述に矛盾はないと見ている。
県警はこの会議を受けて4月下旬、警察庁科警研に袋の鑑定を依頼していた。鑑定結果を巡る14日の報道陣との質疑では県警幹部が「捜査ミスと言われれば……」と口ごもる場面もあった。
(毎日)
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