2010年度の政府予算案は、歳出が膨らむ一方で税収が落ち込み、過去最大の国債発行と「埋蔵金」(特別会計などの剰余金)頼みで帳尻を合わせた。11年度以降もマニフェスト(政権公約)の実施のための歳出増が見込まれ、財政再建の道筋は険しい。
政府の予算を標準的な家計の規模に置き換えてみると、毎月の給与収入(税収)の49万円に対し、出費(歳出)は倍以上の120万円にのぼる。差額は58万円の借金(国債発行)と14万円の臨時収入(埋蔵金など)でまかなう。
予算案について鳩山由紀夫首相は25日の会見で「大幅な無駄の削減ができた」と説明した。しかし、マニフェストの実現のための「組み替え」は不発で、予算規模は09年度当初比で3.7兆円増えた。
歳入面では、国債発行の「約44兆円以内」という目標はなんとか守った。ただ、これも麻生政権下で大型の景気対策を打った09年度1次補正後の数字と同水準だ。
「子ども手当」の財源に見込んだ所得税の配偶者控除の廃止(増収額6千億円)や、「成年扶養控除」の廃止(同2千億円)は、公約に掲げていたが見送り。4年後に1兆円超の財源の確保を見込む租税特別措置の廃止による増収も、10年度は約1千億円にとどまった。
国と地方の借金残高は10年度末見込みで862兆円と、国内総生産(GDP)の1.8倍に達する。90年代半ばごろから長期不況で税収が低迷する一方、景気対策や高齢化による社会保障費の増加で歳出が増え、元手を国債発行に頼ってきた結果だ。だが、市場関係者は「いつまでも国債に頼れる状況ではない」とみる。買い手が減って金利が上がれば、企業の資金調達や住宅ローンにも悪影響を与えかねない。
鳩山政権は来春にも中長期的な財政運営の方針をまとめる。ただし、11年度以降は「子ども手当」の全額支給などで歳出の拡大圧力も高まっていく。
(朝日)
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