日本相撲協会の理事選挙(1日投開票)で、貴乃花親方(37)=元横綱=に投票したことを公表し、相撲協会を退職する意向を示した立浪一門の安治川(あじがわ)親方(36)=元前頭・光法(こうぼう)=が3日夜になって急きょ会見し、退職の意向を撤回した。東京・両国国技館で立浪一門の理事、友綱親方(57)=元関脇・魁輝=と並んで会見した安治川親方は「一門のご厚意で残ることになった」と説明した。貴乃花親方の理事当選を巡り、角界は思わぬ余波に揺れている。
◇造反探し 世論恐れ迷走
20票を持つ立浪一門は、大島親方(62)=元大関・旭国=が落選した直後、一部の親方が集まったが不満は収まらず、翌2日にも国技館で一門会を開いた。誰が貴乃花親方に投票したのかを追及すると、安治川親方が自ら手を挙げ「入れました」と告白。「すみません」と謝る安治川親方に、大島親方は「気にしなくていいから」と声をかけたという。しかし、他の親方の間では「(造反者は)すぐ出ていくんじゃないの」「疑心暗鬼になるよね」と責任を問う声が支配的だった。
撤回に向けて事態が急変したのは3日朝。きっかけは「外圧」だった。一つは監督官庁の文部科学省。報道で知った同省から、相撲協会に事実を確認する電話が入った。やり取りは不明だが、同省は選挙前にも公正な選挙を求める電話をしている。
もう一つの「外圧」は世論だ。相撲協会に数本の電話があり、協会から解雇されると勘違いしたファンから「何で解雇するのか」と安治川親方を擁護する声もあった。
友綱親方は「我々が安治川親方を追い出したと思われたくなかった」と世論の反発を心配した。他の親方も同様の意見だった。2日の安治川親方の会見について、友綱親方はまったく知らなかったという。新聞を見て驚いた友綱親方は、安治川親方に「どうして早まったことをしたんだ」と問い詰め、2度にわたって翻意を促した。
友綱親方は「過ぎたことはしょうがないと説明した。説得ではない」とホッとした表情で話した。立浪一門から2票が貴乃花親方に流れたとみられるが、今後は「造反者探し」を行わない。
この日夕方、京都府内で豆まきに参加した貴乃花親方は「公平な選挙というのは無記名なので名乗り出なくていいと思う。安治川さんがしてくれたことは将来につながる第一歩だと思う」と語った。
(毎日)
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