中国当局は九日午前九時(日本時間午前十時)、麻薬密輸罪で死刑判決が確定していた日本人の三死刑囚に対し、遼寧省大連市、瀋陽市の両拘置施設で刑を執行した。日中国交正常化後、初めてとなる死刑を六日に執行された赤野光信死刑囚=大阪府出身=に続き、中国で死刑が確定した日本人四人全員の刑が執行されたことになり、日本国内の対中感情に影響する可能性もある。
この日、薬物注射で刑が執行されたのは、名古屋市出身の武田輝夫(67)=大連市拘置所収監、岐阜県出身の鵜飼博徳(48)=同、福島県出身の森勝男(67)=瀋陽市拘置所収監=の三死刑囚。
日中外交筋などによると、遼寧省高級人民法院(高裁)が、武田、鵜飼両死刑囚の執行を同九時十三分、在瀋陽日本総領事館大連出張駐在官事務所に、森死刑囚の執行を同九時二十五分、在瀋陽日本総領事館に、それぞれ通知した。鵜飼死刑囚らは刑執行に先立つ八日、家族や支援者らと最後の面会をした。赤野死刑囚も執行前日に家族らと面会しており、中国当局はこの流れを踏襲、死刑執行に対して「懸念」を表明し続けている日本政府に配慮したとの見方もある。三人とも〇七年に死刑が確定した。
<中国の麻薬密輸罪> 中国刑法347条はアヘンの場合は1キロ以上、覚せい剤やヘロインの場合は50グラム以上を密輸した者を懲役15年か、無期懲役または死刑に処すると定めている。密売や製造、輸送する行為も同様に最高で死刑となる。
中国公安省によると、2009年、外国人による密売事件を集中的に取り締まり、外国人1559人を摘発、薬物1・96トンを押収した。
(東京)
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