「父と暮せば」「吉里吉里人」「ひょっこりひょうたん島」など、笑いと社会批評を織り交ぜた戯曲や小説を発表、平和運動にも取り組んだ劇作家、作家で文化功労者の井上ひさし(いのうえ・ひさし、本名・廈=ひさし)さんが9日午後10時22分、肺がんのため神奈川県鎌倉市の自宅で死去した。75歳。昨年10月に肺がんが見つかり、闘病を続けていたが、入院先から帰宅した9日夕方、容体が急変した。舞台、映画化作品も多く、若手からベテランまで芸能界からも惜しむ声が相次いだ。
先代である母の名前がついた「ある八重子物語」を井上さんが執筆し、「拝啓水谷八重子様 往復書簡」を共著している女優の水谷八重子(70)は、突然の悲報に声を失った。本紙の取材に「えっ?」と声を上げた後、しばし沈黙。その後「闘病生活を送っているのは知っていたし、奥様とも話していたのに…」と絞り出すように語った。最初に頭に浮かんだことは「きれいな日本語が、いっぱい死んでしまったという思いです」と水谷。何よりも、井上さんが使う言葉のファンだったという。
「ある―」では脚本が遅れ、物語のラストにある約9分の長ぜりふを短期間で覚えなければいけないことがあった。「周囲から『(せりふを)切ろうか?』と言われたが、先生の手書きの丸っこい文字を見たら、そんなことは言えなかった」と振り返った。「必ず治ると思っていた。悲しいというよりも、悔しいです」と、かみしめるように話していた。
(スポーツ報知)
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