8月30日の衆院選勝利以降、長引いてきた民主党の新体制構築がようやく完成した。
新体制は、来夏の参院選での必勝に向け、参院からの登用に比重を置き、“小沢一極集中体制”を鮮明にした。
「私が地方へ出ることがたぶん、多くなる。そういうことを想定し、幹事長の職務をやっていただくという意味で、輿石氏にお願いした」
小沢幹事長は7日の記者会見でこう語り、小沢氏自身が来夏の参院選で前面に出て戦う考えを示唆した。
今回の人事では、輿石東氏に限らず、参院からの登用が目立つ。小沢氏を除く役員会メンバー9人のうち、参院議員が6人を占めており、参院選を強く意識した布陣となっている。
輿石氏が就く幹事長職務代行は、党内の「ナンバー2」という位置づけだ。
輿石氏と小沢氏は、もともと近い関係だったわけではない。2007年夏の参院選で民主党が参院第1党になって以降、「参院の運営を束ねる輿石氏の力を小沢氏が評価した」(小沢氏周辺)とされる。
輿石氏も小沢氏の評価を意気に感じ、2人は急速に接近した。今年に入り、西松建設の違法献金事件で小沢氏の代表辞任論が高まった際、輿石氏は「辞任の必要はない」と最後まで擁護し続けた。
小沢氏は、7日の記者会見前に党本部で輿石氏と約30分間会談。記者会見では、「(鳩山首相からは)任せていただいておりますので(相談していない)。輿石さんと相談して決めた」と語った。
ただ、輿石氏の登用の狙いについては、党内に、「参院の『輿石体制』は長く続いており、不満を持つ者も多い。盤石ではないからこそ、小沢氏はあえて『ナンバー2』に据えて引き締めを図ろうとしたのではないか」(関係者)と見る向きもある。
副代表や代表代行、幹事長代理を置かず、全体をスリム化したことも特徴だ。
小沢氏周辺は「代表代行だとか副代表だとか、いろんなポストがあって紛らわしい、と小沢氏は感じたのだろう」と解説する。
だが、スリム化は小沢氏の力を強めることにもつながりそうだ。
役員会メンバーには、輿石氏のほか、選挙対策委員長の石井一・前副代表、総務委員長の奥村展三・元役員室長ら小沢氏側近が並んだ。中堅のホープと目される細野豪志組織・企業団体委員長も、党内では前原国土交通相のグループに属するが、最近は小沢氏に急接近している。
14人の副幹事長も同様だ。元秘書の樋高剛氏、衆院選で太田昭宏・前公明党代表を破った青木愛氏、旧自由党から行動を共にする佐藤公治氏らも側近として知られる。
民主党関係者は「自身に盾突くものには冷や飯を食わせ、ひれ伏すものは登用する。まさしく『小沢流』だ」と解説している。
鳩山首相は7日夜、首相官邸で記者団に、「いいシフトをつくってもらった」と満足そうに語ったが、今回の人事で民主党の「小沢支配」は確実に進んだと見る向きは多い。
(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091008-OYT1T00159.htm
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