沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、滝野欣弥官房副長官は20日午後、政府がヘリ部隊の移転先として検討している鹿児島県・徳之島の徳之島、伊仙、天城の3町長に個別に電話し、「鹿児島市内で平野官房長官と会ってほしい」と要請した。
3町長はいずれも会談を拒否した。しかし、鳩山首相は「沖縄県外移設」の有力案として徳之島を重視しており、政府は同日、平野官房長官が近く現地入りして説得にあたることも視野に、なお徳之島への移設の可能性を追求する方針を固めた。
電話は、平野長官の指示で副長官がかけた。昨年9月の鳩山政権発足以来、政府高官が普天間移設の具体的な候補地であることを念頭に、自治体首長と接触したのは初めて。副長官は20日、鹿児島県の伊藤祐一郎知事にも電話し、会談に同席するよう求めた。
町長らによると、滝野副長官は徳之島、天城、伊仙各町長の順に電話し、「普天間飛行場移設問題について話がある」と述べ、鹿児島市内で平野長官との会談をそれぞれ求めた。
これに対し、伊仙町の大久保明町長は、同島で18日に開かれた反対集会に約1万5000人が集まったことを挙げ、「決定的な民意だ。協議の余地はない」と返答。平野長官については、3月末に3町長が上京し、長官と面会した時のことを引き合いに出し、「私たちがせっかく行ったのに『徳之島の〈と〉と言ったこともない』と(言われた)。そんな不誠実な方に会う気は全くない」と不信感をぶつけた。
3町長はこの後、伊仙町役場で協議し、「平野長官に会えば民意に反することになる」との考えで一致。天城町の大久幸助町長が3町長とも面会を拒否すると政府に電話で答えた。
鳩山首相は20日夜、首相官邸で記者団に対し、「徳之島の皆さんには、完全に政府案が決まっていない段階で様々な憶測で迷惑をかけ、深くおわび申し上げなければならない」と陳謝。滝野副長官の電話については「どのような思いで電話したかわからない。政府の考え方がまとまった段階で移設先にお願いすることはあろうかと思うが、まだその段階でない」と述べ、移設に関する正式な打診ではないとの考えを示した。
滝野副長官は20日夜、首相官邸で記者団に「大規模な集会の状況を3町長にお聞きしたいということで電話した」と説明した。
これに関連し、政府高官は20日夜、「政府案が決まれば、平野官房長官が自ら徳之島に乗り込んで説得する」と述べ、徳之島への移設を引き続き追求する方針を強調した。
(読売)
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