2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

報告書漏えい 失墜した事故調の信頼

 JR西日本の尼崎脱線事故で国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現運輸安全委員会)委員が報告書案を事前に山崎正夫社長(当時)へ渡していた。これでは事故調と報告書に信頼が持てない。

 事故調は鉄道や航空機などの事故原因を徹底究明し、再発防止につながる方策を示す重要な国家機関である。任命される委員は専門知識だけでなく中立・公平さが求められる。報告書案の漏えいは国民の信頼を裏切る犯罪行為とさえ言える。

 不祥事を起こした委員(すでに退職)は旧国鉄OBで元日本鉄道運転協会専務理事の山口浩一氏。

 尼崎脱線事故は二〇〇五年四月に発生。運転士を含め百七人が死亡し五百六十二人が負傷した。JR発足後、最悪の事故だった。

 事故調は〇七年六月に最終報告書を公表したが、同氏は漏えいしたうえ報告書をまとめる最終会議で「自動列車停止装置(ATS)があれば事故は起きなかった」との文言を削除するよう求めていたという。

 信じられない不祥事だ。この委員は情報漏えいと報告書修正を求めた点で国民を二重に裏切ったことになる。前原誠司国土交通相が「こうした犯罪行為に対して国民におわびしなければいけない」と陳謝したのは当然だ。

 もっと驚くのは公表前に報告書を見た山崎社長が、ATS設置についての文言を削除するよう山口委員に働き掛けていたことだ。

 調査状況を把握して迅速に対応するためと釈明するが、明らかに自社と自己に不利な表現を取り除こうとの意思がうかがわれる。

 事故を起こした会社のトップとしての責任感も謙虚さも感じられない。「非常に軽率で不適切な行為。申し訳なかった」と謝罪したがそれで済む話ではない。

 事故調の委員は山崎社長の五年先輩という。一時期、職場で一緒だった関係から山崎社長側から接触した。食事や手土産ももらっていた。なれ合いがひどすぎる。JR各社の信頼にも傷が付く。

 今回の不祥事は遺族らに衝撃を与えた。ある遺族は「信頼できる機関だと思っていたが本当にがっかりだ。何と言っていいのかわからない」と憤る。報告書をあらためて検証すべきだ。

 前原国交相は再発防止のため運輸安全委員会設置法に罰則規定を盛り込むことを検討すると表明した。遅きに失した感はあるが、こんな不祥事が起こった以上、早急に法制化すべきである。
(東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009092602000090.html

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

スペースゼロ

Author:スペースゼロ
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード