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世の中の出来事を書き留めます
(朝日)防犯カメラに映った人物と窃盗罪で起訴した男性(62)は別人だったとして、金沢地検が20日、金沢地裁で開かれた論告求刑公判で男性に無罪判決を出すよう求め、異例の謝罪をした。地検の古賀栄美(えみ)次席検事は閉廷後に記者会見を開き、「証拠の見方が甘かったことに尽きる」と語った。入子光臣(いりこ・みつおみ)裁判官は9月1日の判決公判で無罪を言い渡すとみられる。
男性は昨年8月に石川県白山市内のコンビニの現金自動出入機(ATM)で、盗難キャッシュカードを使って計100万円を引き出したとして松任署に逮捕され、否認のまま同11月に起訴された。男性はすでに釈放されている。
古賀次席検事は会見で「男性と映像の人物の同一性について慎重に判断すべきだった」と釈明。起訴の取り消しではなく、無罪判決を求めたことについては「公の場で男性の名誉が回復されるべきだと考えた」と述べた。
今回の事件で、地検はカードの入手方法や引き出された現金の使途を解明しないまま起訴していた。古賀次席検事は「得られた証拠を総合的に判断した」とし、起訴手続きは適正だったとの見方を示した。県警は松任署の松本邦寛署長が20日午後に男性宅を訪れ、本人に謝罪したという。
一方、男性は同日の公判の最終意見陳述で「警察に連れられて写真を見せられ、『お前だろう、お前だろう』と聞かれた。身に覚えがなく、とてもつらい思いをしました」と逮捕当時の心境を語った。閉廷後には、弁護人の織田明彦弁護士と、日弁連刑事弁護センター副委員長の奥村回(かい)弁護士が会見。奥村弁護士は第三者機関か、または県警と地検、弁護士会が共同で今回の事件を検証する必要があると提案した。