□弁護側冒頭陳述
■起訴内容について
被告は
放火行為は行っていない。
個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」の18号室に客として入ったが、自殺を企てたことはない。殺意をもったこともなく、放火もしていない。
出火当時、
被告は18号室でたばこを数本吸い、眠り込んだ。目が覚めると煙があってにおいがしたので店内の受付に行き、その後火災騒ぎとなった。
■火災の火元
客観的証拠によれば、一番焼けている部屋は9号室。警察の実況見分調書に「9号室はもっとも焼損が激しい状態で、18号室よりよく燃えていた」とある。
天井は9号室と8号室、10号室で全部焼け落ちていたが、18号室は焼け落ちていない。消防の火災実況見分・原因判定書によれば「18号室には、出火箇所の決め手となる床の焼け込みはない。唯一、東面の壁に扇形の焼き部分が見られるが、出火箇所と決定づけるだけの強い焼きではない」とあり、18号室を火元とする客観的証拠は存在しない。
■犯人が
被告以外である可能性
9号室が火元であれば、9号室の使用者は犯人である可能性が高い。第1発見者は当初、実際の9号室の客である友人から「ここにいることがばれたら恥ずかしい。鍵を取ってきてくれ」と依頼され、捜査機関に自分が9号室の客であると嘘を言い、友人は初期の
捜査対象から免れた。
■動機・殺意の不存在
被告は
マイナス思考の人間で、生きるのが嫌という気持ちはあったが、自殺する気持ちはなかった。
人に危害を加えるような性格でもない。一緒に入店した男性を「先生」と呼んで尊敬しており、巻き込んで殺害する動機はない。境遇や社会に恨みを持って無関係な人や施設への犯罪ではらすという心理でもなかった。
被告は延焼の
危険性や客の状況、避難の難易、
一酸化炭素中毒による死亡の可能性を認識していない。放火を認めていた段階でも「巻き込む意図はなかった」と弁護人に告げている。
■責任能力と
自白の任意性
起訴内容が認められるとすれば、責任能力はない。キャリーバッグに放火、という手段で自殺は不可能。
被告は逮捕前に放火を否認していたが「お前の部屋が火元だ」と警察官から机を叩いて怒鳴りつけられ、意に沿うように放火と殺人を認める供述をした。
警察官や検察官は弁護士は信用できないなどと言って被告の信頼を得て、
自白を
維持して調書を作成し、被告が訂正を求めても応じなかった。
(産経)
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【個室ビデオ店放火初公判弁護側冒頭陳述】「殺意もなく、放火してもいない」
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